HANAさんのお尋ねについて

https://x.com/deeppinkran/status/1728686431370170823?s=20


身体障害者手帳精神障害者手帳の違いにより、同じ「裁決の遅延」を争うにしても、やや趣旨が異なるとは

  • 身体障害者の場合は、あくまでも手帳を受領したのちでなければ使用できません。それは、判定が2級から1級に変わったとしても、行政がそれを交付していなければ、新たに判定された手帳の受領をもって効力が生じると主張されかねないからと考えたものです。
    何故なら、身体には基本有効期限がありません。(あくまでも私の解釈です)
    ですから、行政は、障がい者本人が死亡すれば、「交付する相手がいない」と、主張して、私の判決でも見られる通り、「手帳を受ける権利は一身に専属する」理論がまかり通ってしまいます。
  • 対して、精神の方では、交付された時点で、申請日にまで遡って効力が生じます。
    (私の主張にはなりますが)有効期限が切れた後であろうが、先であろうが、判定結果の変更があれば、手帳の申請日にまで効力が遡り、死亡日まではサービスが受けられると言うのが常識的判断だろうと思います。(有効期限2年)
    ですから、こちらの場合死亡しているので、手帳の交付などは必要ありません。
    裁決、若しくは判決で、判定結果が2級から1級に認められるだけで良いのです。
    ちなみに税務署などでも、手帳がなくても証明さえできれば、過去に遡って控除申請できるとの回答も得ていました。
    ( 下の例で両方のイメージをしてみて下さい )
    1月申請⇨3月手帳交付⇨4月不服申請⇨9月死亡⇨10月裁決⇨手帳受領不可

「審査中に申請者が死亡した時はこれを終了する」みたいな規定は

(原告)準備書面1 第3 第1点
に同じ問いかけを相手被告にしています。
その回答は(被告)準備書面2 第2−1 に
終了についての行政不服審査法上の根拠について,条文自体は存在しない
と、明確に認めています。その以前には、
相手被告側は 答弁書 第2ー3 で
不服審査法15条1項のことを、とやかく能書いていますが、審査請求人が死亡したときの規定を、この15条で明確に設けてあるので、この規定に従って進めれば良いだけなんです。

戦況報告〜>(裁判資料) - 福祉 行政 不服 訴訟 (別タブで開きます)

県は遅延したこと理由を述べて認めたそうですが、その理由とは

法務担当部署から風のお便り - 福祉 行政 不服 訴訟      (別タブで開きます)

⬆️のページ、一番下の方に”元凶の疑い” と私が題した県よりの書面

の、4,審理の終了までに時間を要したことについて
として釈明しています
なお、死亡判明後のことを申し開きしています。先の(被告)準備書面1で確認できますが、不服審査申請後1年4ヶ月後のことですから、開いた口が塞がらない言い分になります。
・唯一言い訳になりそうな箇所が、定期人事異動くらいなものです。
通常の裁決までの期間は、申請から3〜6ヶ月程度とされているそうです。
⬇️は、前回のブログ記事です。

shit-gov.hatenablog.com

 

#裁決の遅延について

提示していただいた判例での採決は、障害者手帳申請の認定ではなく、私と同様にその認定結果(処分)に対する行政処分不服審査の裁決のことであろうと思います。

A 身体障がい者手帳と療育手帳は原則として再認定日は定められておりません(障害箇所により異なる)。これは、手足の欠損など、改善の余地が見込めないからです。
手帳の効力が生ずるのは、交付後からになります。

B 精神障がい者保健福祉手帳には再認定日まで2年という期間が定められており、2年ごとに更新手続きを行う必要があります。
手帳の効力が生ずるのは、手帳を申請した日からになっています。


【次は、控訴理由書作成前に弁護士宛てに送ったメールの一部です】
 ⚪︎要点にアンダーラインを入れておきます

<参照>障害者基本法 第二十四条(経済的負担の軽減) 

国及び地方公共団体は、障害者及び障害者を扶養する者の経済的負担の軽減を図り、又は障害者の自立の促進を図るため、税制上の措置、公共的施設の利用料等の減免その他必要な施策を講じなければならない。 

 

イ,乙ー3 精神障害者保健福祉手帳制度実施要領 (リンクは別タブで開きます)

https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000617852.pdf

 〇 第2-1-(5) 

手帳の交付申請は、精神障害者本人が行うものとするが、家族、医療機関職員等が手続きの代行をすることは差し支えない。 

意思表示能力の無くなってしまった場合の人間を救済するために設けられた条項だと思います。申請手続き上、申請人が形式的に障害者本人になるのは仕方無いでしょう。だから意思能力の無い状態の人のためにする行為は、本人の行為として認められているのではないでしょうか。 

その意味は、手帳の名宛人と有用(利用)者は同一と解釈して良いように思います。 

この法律を適用する手続きで、一様に一般的意思能力を有した人の代理代行行為と同一にして反射的事実上などの理由で排除されれば、倫理道徳的な避難に値すると思います。 

この部分は通常の手続きを申請する場合他にない規定ですから、不服審査法の2条や行訴法の原告適格を主張する上で大きな役割を担っていると思います。=手帳の申請書と不服審査の申請書の様式の違いでよく分かります。 

 〇 第2-4-(4) 

手帳に記載する手帳の交付日は、市町村長が申請書を受理した日とし、手帳に記載する手帳の有効期限は、交付日から2年が経過する日の属する月の末日とする。 

*等級審査などの判定後の手続き上で、ここも運転免許や生活保護法などの一身専属権と大きく違うところです。審査認定の手順では、手帳受領後から効力を発するのではなく、障害者手帳は交付された時点ですでに効力が発せられています。 

2ヶ月ほどの期間ですが、請求書が提出された時点まで遡って手帳の効力が 認められる点から考えても、この法律による手帳の効力は、一身専属に限られない他者(障害者を扶養する者 )に認められている利益が保障されているからこのように設定されていると考えられます。=受給に関わる制度に期限は重要な要素です。 

 〇 第2-3-(4) 

都道府県知事は、市町村長が申請書を受理したときは、交付の可否の決定を、概ね1か月以内に行うことが望ましい。 

*先に上げた項目の順番と前後してしまいます。 

不服審査法28条には、「~計画的な進行を計らなければならない。」とあります。 

実施要領には、判定結果を審査するのに期限の目安まで明確に規定されています。 行政手続き上で期限の目安を明記しなければならないほど緊急性を要する制度なのですが、その延長にある不服審査に変わった途端緊急性は無視されても許されてしまうようです。 

身体障害者手帳精神障害者手帳の違いにより、同じ「裁決の遅延」を争うにしても、やや趣旨が異なっていますから、争点も変わってしまいます。

4 裁判の争点
裁判では、申請者が生存中に受けられたはずの障害者手帳の権利を、申請者の子供が代わりに受けられるかどうかが争点となりました。
この点について、私の場合、最初から行政が錦の御旗として掲げてきた「一身専属権」で、被告の主張と裁判所判断が全て収斂されています。
私の見解では、裁判上、一身専属権原告適格のどちらかについて却下判決が下されるマニュアルが用意されているように思います。

A 身体障がい者手帳については、手帳の受領後でなければ効力が発生しない点について、勝負はついているものと思います。争点とするためには、常軌を逸した遅延(不作為)行為を争う以外方法はないと考えられます。
B 精神障がい者保健福祉手帳については上記の通り

  • 2年という期間が定められている
  • 交付の可否の決定を、概ね1か月以内に行うことが望ましい
  • 手帳の交付日は、市町村長が申請書を受理した日
と、「申請者が生存中に受けられたはずの障害者手帳の権利を」判定が覆ることで、相続人に受ける権利(利益)が発生する違いがあります。

まとめ

私も、一身専属権に関わる判例を調べ(WEB公開上だけですが)、生活保護などで、逸失利益が認められている判例を見つけて、弁護士の方に訴えかけたのではありますが、控訴審ではすでに時期を逸していたのかもしれません。
私の裁判上では、この裁決の遅延については審理されていません

不服審査手続きを終了されたことについての訴訟でしたから、被告(県)は手続き(裁決)が遅延していたことについては、一応の理由を述べて非を認めています。
法的根拠のない行政行為を認めた判決なので、決して許されるはずもないと思うのですが・・・これ以下は愚痴に変わるのでやめておきます。